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さいたまと千葉に1週間ほど滞在。
2,3日は暑くてずっと汗をかいていたのに、それを過ぎたら薄手のコートを羽織るくらいの涼しさになった。
さいたまでは今では悪友のような、私の管理人のような元彼と会って、いろいろな場所に連れて行ってもらった。なんだか上手く話せなくて、とても後悔している。
初日の晩ご飯の時間がいちばん楽しかったなあ。しゃぶしゃぶを食べて食べて食べまくって、私だけで薬味のねぎを2本は食べた。それからカラオケに行って、酔っ払った彼はビールを振って、テレビにぶちまけた。私は一生懸命拭いて、怒っていたけれど、笑っていた。
私もお酒が飲みたかったけど、看護士さんの彼を目の前にして、暴走してしまう私を見せたくはなかったから、自重した。
なんだかんだ文句も言いつつ、彼もお仕事をしていて、遠い世界のひとに見えた。たくさん食べて、たくさん飲んで、ぐっすりと眠ってお仕事に行く。それを当たり前にこなしている彼が、とても遠くなってしまったような気がした。世間一般の当たり前をこなす彼が羨ましかったし、それから少し距離をとっている私を後ろめたかった。
千葉では1日1食の食事とセックスを楽しんだ。これだけだとおかしい(これだけでなくてもおかしいけど)ので、いろいろ書き足す。
千葉に着いたのは18時くらい。縁あって2月にセックスしたひとと、また会えることになった。ちょっとしたトラブルから滞在期間が延びてしまって、その間お世話になった。
着いた晩はすぐセックスして、済んだら彼は副業に向かった。帰ってくるまで、私は平然とシャワーを済ませて持ってきた本を手にとり読んでいた。
一応お布団を用意してくれていたみたいだったけど、ただただ寒くて眠れそうにないという理由で、彼のベッドで眠った。あたたかかった。涙が出そうになった。
次の日は休日出勤で、彼がお仕事に行っている間、サムゲタンときんぴらごぼうを作った。ひとのためにお料理をすることは久しぶりだったし、緊張した。掃除機をかけたりもしたけれど、お掃除がいちばん苦手な私は彼の帰ってくるギリギリまで手をつけなかった。
彼が帰ってきて副業まで少し時間があったから、サムゲタンをあたためて食べてもらった。風邪ひきだと聞いていたから、ねぎもたんまりと入れてみたやつ。美味しいと言ってくれた。嬉しかった。
彼が副業に行っている間は、また本を読んで時間が過ぎるのを待った。眠りはしなかった。私は、彼が帰ってきてから私を求めることが、何よりの精神安定に繋がると知っていたから。
4泊して毎日彼と交わった。馬鹿みたいだなあと思う。こんな風なことでしか、自分を認められないのかと思う度に、容姿がよければ風俗で働きたかったと真面目に考える。それでまた、馬鹿だなあ、と落ち込む。
秋田に帰ってからは、まだ知っているひとに会っていない。会いたくない、という気持ちが強くてこころが定まらない。
できるのなら、私はセックスがしたいですと街中で言いふらしたい。一晩で記憶がリセットできたなら、どんなに楽だろう。
私は毎日夜を楽しめる。気持ちがすこし満たされる。私は私を認めてあげられる。
私が性的な行為以外で自分を認めてあげられるようになるまで、どれくらいかかるのだろう。性的な行為以外でとは言ったけど、ほかに何があるのか。私が私に満足することや、私を褒めることができるのは、他のひとが必要だ。自分ひとりで自分を認識したり許容することが、今の私は他者に比べて容易ではない。
なにがこんなに複雑に絡まれば、私になるのだろう。
私は私がわからない。