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なんとなく落ち着かずに、また胃に食べ物を詰め込んでいる。土曜日と日曜日は、なんとなくしんどかった。なんとなく、ぼんやりと、じわじわとしんどい。焦燥感のようなひりひりとした火傷が、気持ちを焦がしている。
はじめてのデートは、とても悲惨なものだった気がする。こんなに緊張したデートなんて、短大生のとき以来だったと思う。
目を見てお話しすることがあまり出来なくて、顔を合わせてくれないんですね、とまで言われてしまった。本当はもっとしっかりと目を合わせたかったけど、中学生並みの照れが勝ってしまった。
帰ってから後悔していることも、また今度会いたいことも、頑張って伝えようとした。けど、空回りしてすごくすごくしつこくなってしまった。すこし時間をあけて冷静になってから謝ったけど、病的な人間だって思われたかもしれない。でも、2回目のデートが実現したのはこれのおかげだったのかも。
待ち合わせのときはやっぱり驚いてしまって、ああまたびっくりした顔を見られてしまったと、前髪を触りながらごまかした。
予約時間をすこし過ぎて、イタリアンのお店に連れて行ってもらった。大好きなクアトロ・フォルマッジがおいてあるお店。すん、と綺麗なお店だった。シンプルな造りの外観、タブリエでキリッとオーダーを待つ従業員の方が私たちを緊張させた。でも、一緒に食べたピザやジェラートが頬を緩める役割を果たしてくれた。たくさんお話しをした。気づかれないように見つめながら。
映画館に向かうとき、私たち場違いだったかな、とふたりで笑えて嬉しかった。緊張してしまったねと笑えた。
映画はReady player 1を観た。ほんのすこしのラブシーンが、その後の私をおかしくさせた。作中すこしドキリとする場面や涙腺が緩んでしまう場面があって、私はその度素直に反応した。映画が終わったとき、うるさくして(声は出していないけどびっくりしたりしたこと)ごめんなさいと言ったら、大丈夫ですと微笑んでくれた。手が触れそうになって、目をつぶって立ち上がった。本当に中学生の頃に戻ったようだった。
ウインドウショッピングを楽しんで、ゲームをしたりした。お別れするときも私の頑なな緊張はとけずに、せっかく彼がつくってくれた柔らかな空気もぶち壊してしまって、またねと手を振った。2回目のデートは1本の指も触れずに終わった。
帰ってからはまた後悔の連続で、でも今回は充実感が優ってベッドでふやけて眠りについた。
何日か経って今日、月曜日。GWが明けて、私の気持ちがなんとなくざわざわしている今日、お仕事をお休みしようと思っている。
日曜日から母たちが家を空けている。私はいまひとり。ひとりになると途端に7年くらい前のことを思い出す。家中の窓の鍵をかけて、カーテンを閉めて、ベッドにもぐる。何かの音がしたはずみで頭がグラグラする。もう時効なんじゃないのか、と思ってたけど、私のからだはまだいろいろ覚えているようだった。
病気とこのことについては、お話しするべきか、やめておくべきか悩んでいる。本当は聞きたい。ねえ、こんなことになっちゃってる私なんだけど、すき?って。間を空けずにすきですってただ言われて安心したいだけ。そんな軽いことでもないだろうから聞きはしないけど。
日曜日、きっとひとりでいるときしんどくなるだろうなあと思って、電話がしたいですと言えたのは成長。私は私のしたいことが彼に伝えられるようになってきた。それができなくても当たり前だと思えないことは、これからまた良くなれるところだと思いたい。いま、現在進行形でしんどいけど。
うそをつかないで、ぜんぶ裸になるくらいの勢いで、私を見せてもいいやって思えるくらいの勇気がほしい。私には足りていない。
気を紛らわすことをいい加減に覚えたい。他のことをしても、頭が置いてけぼりになっている。からだがサーッと冷たくなる。
デート、と書いたことは初めて。彼とのおでかけ、彼とのデ(ート)と言っていたから。
すこしでも私をうきうきさせたかったし、落ち着かせたかったから書いた。
こうやって文字で残せたら、大丈夫。大丈夫の定義はよくわかっていない。
見ることなんてないと思うけど、見てたら教えてください。
私のこと、すきですか?